ロックを集め過ぎた人

ロックを集め過ぎたのでCDレビュー始めました。メタルが多めだけど気にすんな。

Animal Collective - Strawberry Jam

こんにちは。

 

今回はアメリカからエクスペリメンタルポップ、

Animal Collective

です。

 

1990年代半ばにアメリカ・ボルチモアにて結成、フォークやサイケ、ノイズやエレクトロニカなど、実験的に多彩なジャンルから要素を取り入れつつポップに仕上げた独創的な音楽性でエクスペリメンタルシーンを先導するバンドですね。各メンバーがそれぞれ積極的にソロ活動も行っているかと思えば、時にはバンドの作品にクレジットされないメンバーがいるなど自由度の高い活動も特徴的です。

 

聴くのは7作目のスタジオアルバム「Strawberry Jam」。非メタル作品久しぶりだな。キューティなタイトルとは対照的に生々しいジャケットが印象的です。

 

 

 

Strawberry Jam

トラックリスト
#1 Peacebone
#2 Unsolved Mysteries
#3 Chores
#4 For Reverend Green
#5 Fireworks
#6 #1
#7 Winter Wonder Land
#8 Cuckoo Cuckoo
#9 Derek

 

 

 

ひとまず#1は小刻みなシンセとベースが不規則に交錯するエクスペリメンタルなイントロ。この前衛感久しぶり…と回顧していたら四つ打ちのキックが入ってきてポップの様相を見せ始めます。素朴なヴォーカルで曲は進行しますが、時にシャウトが飛び込んできたり、そもそもイントロの前衛的なフレーズは曲を通して流れ続けており、常にポップとギリギリでせめぎ合う、ドキドキハラハラするナンバー。コレが先行シングルなのだからかなり攻めてる。

 

全体的にサウンドは常に不安定な浮遊感を有し、シンセはノイズを孕み、ヴォーカルは掴みどころがない。要素をひとつひとつ取り出してみるとエクスペリメンタルそのものなのに、なぜかそれらは彼らの手によって調理された結果、狂気的なポップへと変貌を遂げるようだ。低音が弱く宙に浮いている感じが強かったり、時に暴力的な激しさを見せたりと、聴き手を変に落ち着かせてくれないコワさがある。

 

この作品に関してはメンバー四人がクレジットされているのですが、全員が「Performance」という役割での表記なのもまた面白い。一応担当楽器みたいなものはあるようですが、おそらく明確に線引きして制作しているわけではなく、自分たちのアイデアをあらゆる手段で楽曲に盛り込むような形で制作を進めているのでしょう。セルフプロデュースということもあり、とにかく自由度の高さが作品そのものを表しているといえます。

 

そもそもメンバーの名前もAvey TareDeakinGeologistPanda Bearとフリーダム。”動物集団”だけど動物は一匹しかいないし、地質学者までいる。一応本名は普通に公開しているようです。

 

タイトルの「Strawberry Jam」はバンドのライヴを行うためにギリシャへ向かっている途中の飛行機の中で、このバンドの創始者であるPanda BearことNoah Lennoxがパンに塗るためにイチゴジャムの袋を開けた時、その輝きに目を奪われたことからインスピレーションを受けて制作されたところからだそう。まあそんなこったろうとは思ったけど、アーティストが五感を通じて感じたことをサウンドとしてアウトプットする時、その可能性の大きさにはいつも驚かされる。それがエクスペリメンタルであればあるほどドキドキワクワクが大きくて、エキサイティングになれる。この作品も例に漏れず、楽しめる仕上がりになっています。

 

ギリギリで狂気的だけれどもなぜかポップさを感じてしまう不思議な作品。ただし聴きやすくはないので、迂闊に手を出すと唖然としてしまうかも。うまく開封できなくて”イチゴジャム”をぶちまけてしまった時のように。

 

 

 

アレですね、前衛的な作品はサウンドに感化されていつもより言い回しがウザくなってしまいますね。我ながら最後ドヤ顔ですよ。そんなことより私は生活が雑過ぎて玄関にぶちまけられているチラシ類を片付けたほうがいいので、片づけます。

 

 

おわり

 

 

 

Strawberry Jam

Strawberry Jam