L'Arc-en-Ciel - ark
こんばんは。
今回は日本を代表するロックバンドのひとつ、
L'Arc-en-Ciel
です。
1991年に結成、紆余曲折を経ながら現在までいくつものヒット曲を生み出し、若い世代にもファンの多い日本におけるトップバンドのひとつです。
1991年結成ということは来年で30周年を迎えるのですね、おめでたい!
近年は各メンバーのソロ活動やプロデュース活動が多めで、リリースやライヴは極端に減っています。(今年8年ぶりのライヴツアーが開催されましたが、コロナウイルスの影響で約半分程度で終了してしまいました。)
聴くのは6作目のスタジオアルバム「ark」。ノストラダムスの大予言の当日に「ray」と2作同時発売したことでも有名です。ヒット作ばかりのこのバンドですが、このアルバムは特に人気作ではないでしょうか?
聴く前から楽しみ。いきましょー!
トラックリスト
#2 HEAVEN'S DRIVE
#3 Driver's High
#4 Cradle
#5 DIVE TO BLUE
#6 Larva
#7 Butterfly's Sleep
#8 Perfect Blue
#9 真実と幻想と
#10 What is love
#11 Pieces [ark mix]
初っ端シングルを3発入れてくるのはニクイですね…
そもそも「ray」と2作同時発売になったのは、前作から今作までのシングルが多く、一枚にまとめるとほとんどベスト盤になってしまうから、というのが理由らしい。
#1は14thシングル。終始マーチングビートという珍しい構成。ゆったりと伸びやかなアンバーで、作曲はkenですが彼らしい一曲ですね。ちなみにドラムは編集ソフトでフレーズを切り貼りして制作されたとのこと。マーチングビートでフレーズの種類が少ないからか?
#2は#1に続くシングルで今作日唯一のhyde作曲。ノンタイアップ曲ですが、このバンドの人気投票では上位に食い込む名曲のひとつです。前奏のカッティングもさることながら、ベースラインがとんでもない動きをしており聴きどころ。かつベースラインに注目しなければなかなかこの恐ろしさに気付けないのもこの曲のすごさ、というかtetsuの魅力のひとつですね。彼のベースラインは「歌うベース」と評され評価が高いですが、それが最もいかんなく発揮されているナンバーといえるでしょう。
#3はこのバンドにしては珍しいシングルカット。そしてこのバンドの話をする上で必ずといってもいいほど名前が挙がる人気曲のひとつ。GTOの前期OPとしても有名ですね。PVはメンバーが逃走劇を繰り広げるものですが、なんとラスベガスの州警察当局の協力を得て制作されたらしい。PVに結構凝っているのもこのバンドの特徴のひとつですが、さすがです。
#4はyukihiro作曲。このバンドでの作曲遍歴はこの作品から始まっており、このアルバムには2曲収録されました。ターンテーブルによるスクラッチが各所に散りばめられているのが特徴的でコレはyukihiroによるもの。非常にゆったりとしたアンビエントともいえる音使いが印象的で、yukihiroのソロプロジェクトであるacid andoroidはエレクトロニカが中心となっていますが、それを感じさせるナンバーとなっています。
#5も言わずと知れた名曲のひとつ。tetsuらしいポップネス溢れた楽曲、特に2サビ、4サビ後に突き抜ける雰囲気が個人的に非常にお気に入りです。PVから自殺を暗示する楽曲ではないか、とも言われていますが真偽のほどは・・・。ちなみに今作品はtetsuの作曲が5曲ともっとも多く、それがこの作品のポップさを形作っているのかも。
#6はyukihiro作曲のインスト曲。非常に彼らしいドラムンベースのナンバーです。曲を通して聴かれる特徴的な音は北インドの太鼓であるタブラという打楽器の音を歪ませたものだそう。acid androidの前身的な作品である「ectomorphed works」にもリミックスが収録されています。
#6のアウトロからそのまま繋がる#7はラテン音楽の雰囲気を醸し出しているken作曲のナンバー。今作もっともダークな雰囲気を持っている楽曲で、原型はkenが高校時代に作ったものだそう。当初はもっとヘヴィだったそうですが、この作品で聴かれる完成形はストリングスも導入され、ヘヴィさもありながらhydeの歌もあって艶やかさも印象的。ギターソロではかなり歪みが強めに設定されていたり、ベースが全体的に強く強調されており、また、#6で使用されているドラムループが曲を通して使用され、メンバー全員の特色が色濃く現れている、ある意味このバンドらしさが満載なナンバーです。
#8は打って変わってtetsu作曲のハワイアンなナンバー。tetsuはフェンダー・ベースVIというバリトンギターを使用しており、The CureのRobert Smithの影響とのこと。このバンドはメンバーがニューウェーヴからの影響が強いですが、こういうところに現れているのか。ドラムはこの曲でもリズムマシンが使われており、yukihiroの特色が今作品ではちょこちょこ垣間見られますね。
#9はken作曲の、伸びやかなでエレクトロニックな音が特徴的ながら、ギターソロではロックな一面も覗かせるナンバー。hydeは曲を渡されて聴いた際、「異国の雰囲気を感じた」そうで、撮影で訪れたモロッコをイメージし、自身を歌詞の中に「詩人」として投影させ、詩を書くことについて書かれたとのこと。hydeのアーティスティックな面が見られる作品です。
#10は「愛とはなにか」と問いかける、同性愛をテーマにした作品とのこと。「今でも愛を知らなく愛を知らなくてなぜ 僕にはあの感情があの感情がない?」という部分でビートが速くなり、焦燥感を感じさせるパートはグッときます。
ラストの#11は16thシングルのアルバムミックス。シングルバージョンとはラスサビ前のオーケストラに差異がありますね。ライヴのラストで演奏されるバラードの定番。前作「HEART」のラストを飾る「あなた」も同様にラストのバラードの定番ですが、アルバムでの位置といい、tetsuの発言からもかなり意識して作られたナンバーのようですね。
ということでDIR EN GREYのレビューよろしく全曲レビューとなってしまいました。友人の影響はあるものの、馴染みの強いバンドの作品はどうしても全曲言及したくなってしまうな。
序盤シングル曲が続いていますが、竜頭蛇尾になることはなく最後まで良曲が続き、ラストしっとり締められており構成もバッチリ。シングル曲しか知らないのはもったいないと感じました。L'Arc-en-Cielというバンドは、各メンバーが特色を色濃く持っており、それらが各パートでいかんなく発揮されますが、それをそのまま作品にしたような出来上がり。
有名な曲が多いので知っている曲が多く、「ラルク?好きだよ笑」などと言ってしまいがちですが、シングル曲しか知らない、ということであれば是非聴いてほしい作品です。
馴染み深いアーティストの作品もこうしてレビューしてみると味わい深く、改めて良さを確認できました。知らない作品との出逢いもいいですが、こういうのもイイ。次が楽しみです。
おわり