Pearl Jam - Vitalogy
こんばんは。
さて、今回は3度目のレビューになります。
バンドに関する説明は過去のレビューを読んでいただくとして、今回聴くのはしっかり順番を踏んで3作目「Vitalogy」です。
前作までと作風を変えているようで、かつそれでもビルボードUSで1位を獲得し、All Musicでも4.5と、前作に引き続きとんでもない作品であることがうかがえます。
当初はまずビニール盤が発売され、2週間遅れてCDおよびカセットテープが発売、という異例のリリース形態をとったとのことで、バンドが攻めた活動をし始めたところも注目です。
期待を大にして、いきましょー!
トラックリスト
#1 Last Exit
#2 Spin The Black Circle
#3 Not For You
#4 Tremor Christ
#5 Nothingman
#6 Whipping
#7 Pry, To
#8 Corduroy
#9 Bugs
#10 Satan's Bed
#11 Better Man
#12 Aye Davanita
#13 Immortality
#14 Hey Foxymophandlemama, That's Me
これまでのPearl Jamは、「シンプルながらも丁寧なアレンジの器用なオルタナ」というイメージでしたが、序盤#1、#2で聴かせてくれるのは、かなりパンキッシュで粗削りなナンバー。
メンバーは「彼の死を利用するつもりはない」と、NirvanaのKurt Cobainの死の影響を否定していますが、作風はかなり近くまさに「グランジ」という感じ。
このバンドは、楽器隊、特にギターのアレンジが非常に優秀であるというのが特長で、器用なアレンジで楽曲を引き立てつつ、ヴォーカルを決して邪魔しない、というのが前回までのイメージでしたが、今回はベースやドラムも含め全体的にアレンジに派手さはなく、かなりおとなしめ。
ギターの歪みの感じもクランチ+αくらいの感じです。
パンクを中核に据え、シンプルさを追求した結果といえるでしょう。
無駄はそぎ落としつつ、彼らの持つアレンジ力で、ただのパンクにとどまらない豊かな音楽的広がりを持つ楽曲群になっています。
Nevermindがオルタナ/グランジを始動させた金字塔的作品であるとするならば、こちらはこのジャンルの完成形と呼べるかもしれません。
また、#9や#14など一部では実験的なナンバーを披露しており、この後のPearl Jamの行く末をワクワクさせるようなアプローチも。
#13はほんのりミドルバラードで、これまでならここで締めくくっていたでしょうが、エクスペリメンタルなナンバーで終えるあたり、かなり攻めてるな。
方向転換というよりは、ここまで内向的な志向だったものを、外側にシンプルかつ前衛的な形で発信することによってできあがった作品、と捉えるとしっくりくるような気がします。
3作目にしてジャンルとバンド自体の完成形を見せてくれたこのバンド、この先の作品でどのように進化していくのか、非常に気になりました。
ものすごく当たり前のことを述べますが、アーティストの作品は順番に聴いた方がいいです。
いや、ホントめちゃめちゃ当たり前なんですけど、好きなバンドでもなければなかなかそんな聴き方しないじゃないですか。
「ひとまずこのバンドを聴いてみよう」となったら代表作を聴くわけで、それが必ずしも1stとは限らないし、その後の作品も順番に聴くとは限らない。
ある事物を理解するにはその歴史を学ぶのが一番いい、と個人的には思っていますが、まさにそれで、それってこういう風にレビューを始めなかったら分からなかったなあ。
継続は力なり、ということでこれからもどうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m
おわり