想い出波止場 - 金星
こんばんは。
さて、今回は久しぶりにこの手のジャンル、
です。
日本が誇るエクスペリメンタルロックバンド、BOREDOMSの山本精一が立ち上げ、同バンドの吉川豊人や渚にての柴山伸二などこの界隈の大物が参加、
一部の音源は非常階段のJOJO広重のレーベルから発売されるなど、日本のエクスペリメンタル界のスーパーバンドです。
聴くのは5thアルバム「金星」。
久しぶりに日本語見たな…
期待と不安で胸がいっぱいですが、いきましょー!
トラックリスト
#1 金星
#2 オルタナティヴ・ファンカホリック
#3 ギオン
#4 GO
#5 サテライト・グルーブ
#6 ヒューマン・トルネード
#7 日本解散
#8 空中はB
#9 グッバイ!サブマリーン
#10 幽霊山脈のテーマ
#11 クール
#12 おやじ
#13 ロケンロール・ファンタジア
#14 WE ARE ハロー
#15 ホワイト・アワー
#16 アーメン
タイトル曲の#1は10秒のギターノイズでした。
みなさん、もうお分かりですね?
#2、#3はギターノイズがひどいThe Art Of Noiseのような。しかしながらテンポが感じられるのでノッてしまう…
俺が狂っているのかそれとも…
#4はここまでで登場したノイズを交えながらも、まさかの歌もの(?)。
しっかりと歌詞もあり、浮遊感のあるサウンドなのでいわばシューゲイザー。
それは言うなれば、狂気の中に埋もれた一瞬の正気のような。突然来るのでたまげます。
その後もヒップホップのビートで使えそうなグルーヴ感の#5、ノイジーでハードコアなロックンロールナンバーの#8、
ベースの単調な繰り返しと即興のオルガンが20秒程度ずつ演奏される#11、普通にイカシたリフで始まるパンクナンバーの#13…
狂気と正気の境界を千鳥足で歩いているかと思えば、突然狂気に飛び込んで行ったり、ふと正気に戻ったり、終わるまでなかなか落ち着くことができない。
レコーディングが即興演奏なのか否かはわかりませんが、The Art Of Noiseしかり、Excepterしかり、ある程度計算して作ってるんだよな。
体がなんとなくノッてしまうのは、その計算されたグルーヴによるものでしょう。
(決して私が狂ってしまっているからではない。決して。)
そのグルーヴという土台の上で「作られた」狂気的なノイズやらサンプリングやらが、これもまたうまく計算されて乗っかっている。
支離滅裂に見えてしっかりとした構造を持っているので、「聴ける」んですよね。
曲名がどれも狂気と正気の間にあるのも趣深い。歌詞とかよく聴くとコミックバンドの気もあるかな。
芸術って難しい。でも、少なくともメンバーが「音が好き」っていうのは伝わる。
この作品一枚であらゆるエクスペリメンタルを内包しているのもポイント。
浮遊感のあるもの、狂気的なもの、ノイジーなもの、ハードコアなもの、不協和音がめだつもの、不安定な電子音、環境音のサンプリング…
ここまでいくつかのタイプのエクスペリメンタルミュージックをレビューしましたが、そのどの要素も持っている、オールマイティな作品でもあります。
想い出波止場というとこの作品が最も有名なようですが、その所以でしょう。
個人的にはこの作品、普通に楽しくて好きです。
ちょっとハードコア要素が強めなので、ハードコアにハマってる方は是非。もちろんエクスペリメンタル好きは必聴、比較的聴きやすいので入門にもオススメ。
エクスペリメンタルミュージックにもいろいろあるんだなあと、また人生に不要な知識を増やすことができました本当にありがとうございました。
おわり