Excepter - Alternation
さて、今回はExcepterというアメリカの前衛音楽グループ。
2002年から活動しており現在も活動中と、そこそこキャリアがあるにも関わらず、英語版のWikipediaですら簡単な紹介とディスコグラフィーしかないという謎のバンドです。
ジャンルの欄には怪しげな名前が連なっていますが、電子音楽系統の前衛音楽かな?
ひとまず聴いてみましょう!
トラックリスト
#1 Icecream Van
#2 Lypse
#3 The "Rock" Stepper
#4 The Ladder
#5 If I Were You (Live)
#6 Whirl Wind
#7 (The Pipes)
#8 Knock Knock
#9 Apt. Living
#10 Op Pop
#11 Back Me Up (Show)
しょっぱな不安を煽るようなオルガンの音が流れだし、すでに怪しさ満載。
規則的でありながら、特にビートを刻むわけでもないパーカッションに、あちこちから聞こえてくる会話のようなうめき声のような人声、幾度も繰り返される理解に苦しむフレーズ、互いに調を合わせる気のない電子音たち…
あ、コレ、ダメなやつだ。(誉め言葉)
かつてOzzy Osbourneが「人を怖がらせる音楽をやる」と言ってBlack Sabbathを結成したように、この人たちは人々を不安にさせるために音楽をやっているのだろうか…
変にキャッチーなフレーズが見え隠れするのもまた怖い。
現在7人のメンバーを抱える大所帯のバンドですが、とにかく各人が自分の表現したい音をそれぞれ鳴らしている、という感じ。
なんとかミキシングとマスタリングでまとめているけども、ここまで聴き手を置いて行く音楽は久しぶりだな…
The Art Of Noiseのほうがまだビートやノイズを楽しめたものです。
かつて聴いた人々を困惑の渦に巻き込んだであろう、ホワイト・アルバムのNo. 9に電子音を加えてできた、というとイメージしやすいだろうか。
…しかしながら私くらいになると、わかるのである。
前衛音楽ないし前衛芸術というのは、
「表現を形にし、発表することに意味がある」
のだ。
もしかしたら何かを無我夢中で全力で表現した結果かもしれないし、実はおふざけで爆笑しながらできあがったものかもしれない。
はたまた、無意識のうちにいつの間にか完成していたのかもしれない。
コレは作り手によって異なると思うが、とにかく、発表すること自体が意味のあるもので、偉大なことなのだ。
そして聴き手は一体何を感じるべきなのか。
答えは…
「勝手にしろ。」
まあコレは前衛音楽だけに限ったことではないけども、彼らに「表現の自由」があるように、私たちにも「思想の自由」があるわけで、この手の音楽を聴いて「なんだコレ、意味わからん」と棄ててしまってもいいし、「なんかよくわからんけど面白いな笑」とライトに受け止めてもいいし、「コレはすごい芸術だ…」とのめり込んでもいいし、「なんか気持ちよくなってきたな」と興奮してもいいのである。
作り手は好き勝手やる権利があるのだから、聴き手も好き勝手に受け止めればいいのだ。
とにかく。
この手の音楽は「存在することに価値がある」…
…となんだか前衛音楽擁護派みたいなレビューになってしまいましたが、世の中「何かを伝えたい!」「何かを感じ取ってほしい!」と思って音楽やってる人たちばかりではない、ということです。
個人の感想を言うならば、まあ易しくない笑
でも、音楽の系統は同じにも関わらず、「あらゆる不気味さ」を各曲で表現していて、曲によって印象が結構違うのが面白い。
基本的に前衛音楽は部屋を暗くして目をつむり、耳に入ってくる音をそのまま何も考えずに受け止める、という聴き方がオススメなんですが、コレもまさにそのタイプで、聴いている間は次元的に別の空間にいるような感覚になる。
音使いは前述のThe Art Of Noiseや、Einstürzende Neubautenの系統です。
6分超えの曲が大半なのですが、「なんだろうコレは…」と思っているうちに、間髪入れず急に前触れもなく次の曲に移る、の繰り返しであっという間に1時間経ってました。
初心者には絶対にオススメできませんが、慣れている人であれば、心を無にしたいときに試しに聴いてみる価値はあると思います。
最近判明したのですが、俺がモテないのはメタルが好きだからではなく、やたらロックのジャンルに詳しいかららしいです。
ホントこんなことやってる場合じゃねえよ。
どうしよ。
おわり