Incubus - Morning View
こんにちは。
今回は約半年ぶりの登場、
です。
前回は1stEPの「Enjoy Incubus」でした。ファンキーでフリーキーなミクスチャーロック/ラップメタルを聴かせてくれましたが、今回はその約4年後に発表した4作目のスタジオアルバム「Morning View」。「Enjoy Incbus」当時と比較すると音楽性が結構変わっている模様。作品の評価も高く、先行シングル含め5枚のシングルを含んでいます。
トラックリスト
#1 Nice To Know You
#2 Circles
#3 Wish You Were Here
#4 Just A Phase
#5 11am
#6 Blood On The Ground
#7 Mexico
#8 Warning
#9 Echo
#10 Have You Ever
#11 Are You In?
#12 Under My Umbrella
#13 Aqueous Transmission
浮遊感漂うイントロにうねるベース、そこへグランジ然とした粗削りなギターと穏やかなクリーントーンが交互に奏でられる#1は、4年前とは一線を画す、メロウなオルタナティヴロック。バックコーラスなんかも頻繁に使用され、初期衝動によるパワーは依然として残っていながらもメロディアスなロックへと変貌しています。
先行シングルである#3なんかは新たな音楽性を顕著に示しており、バースではディレイとリバーブが程よくかかったギターサウンド、コーラスではパワーを感じさせるほどよく歪みのかかったギターサウンドを使い分けたメロディアスロック。ベースはファンキーにバキバキと演奏されていた初期とは打って変わって、芯の強い抜けてくる音が心地よく奏でられるモノに。
「Enjoy Incubus」発表後DJ Lyfeは脱退し、Chris Kilmoreがキーボーディスト/DJとして加入。今作のスクラッチは彼によるもの。ストリングスもところどころで使用されており、コレも彼によるものかと思ったら、生の管弦楽団とスージー・カタヤマというアレンジャーが入っているらしい。気合いが入ってるな。このストリングスも落ち着いたメロディアスロック、そしてオルタナティヴロックたらしめる音楽性の核となる要因となっています。
初期は衝動的でシャウトも多く見られたBrandon Boydのヴォーカルは、今作では落ち着きつつもセクシーさ全開。こちらのほうが安心感があるな。ただし、コーラス部分の盛り上がるところでは初期を思わせる力強く叫ぶ部分もあり、なかなかにエモい。
逆に最もバチバチしているのが#10。初期のようにヘヴィでアンダーグラウンドというわけではないですが、作品中で最もベースはガリガリと、ギターはザラザラと歪み、ふわふわとしすぎてしまいそうな雰囲気をバシッと引き締めてくれるナンバー。かつ、浮遊感のあるパートもあり、Brandonは曲中で艶やかさと力強さを器用に使い分けるなど、このバンドの強みと変化を存分に楽しむことができます。
歌詞はかなり平和なもののよう。ここ数日は随分血なまぐさい歌詞が多かったので心が安らぐな…。人との出逢いや別れなどが詩的に表現されています。
ラストの#13ではなんだかアジアンな弦楽器の音がするなあと思ったらなんと琵琶が使われているらしい。演奏はギタリストのMike Einziger。ギターは使われず、ストリングスや尺八ががっつり入っており、そこにスクラッチやパーカッションも入ってくる、真にオルタナティヴなナンバー。アウトロには海鳥らしき泣き声も入っており、ジャケットの正体はコレか。
作品を通して心安らぐメロディアスでメロウなサウンドが心地よい作品。全体的にベースが気持ちよく抜けてくるのも個人的に好み。初期と比較すると刺激はかなり少なめなので、好き嫌い等々、音楽性の変化をどう取るかという部分はあるかもしれませんが、洗練されたオルタナ/グランジサウンドを聴くことができる良作です。
人は休みが続くと昼夜が逆転するとはよく聞く話ですが、完全にそれを体現している状態です。どうやって直せばいいんだろこれ。食事もかなりカスだし。一生休みが続いてほしい。
おわり