L.A. Guns - American Hardcore
さて、今回は1980年代のLAメタルを支え、今もなお根強い人気をもつバンド、
L.A. Guns
です。
同時期に活躍したGun N' RosesがこのバンドとHollywood Roseが合流してでき、 Tracii Gunsはソッコーで脱退して結局L.A. Gunsをやったのは有名な話ですね。
その後も低迷期やらふたつのL.A. Gunsが存在したりといろいろあったりしましたが、2017年にスタジオアルバムを発表するなど、精力的に活動中です。
今回聴くのはフロントマンのPhil Lewisが脱退し、低迷期真っただ中に発表した、5thアルバム「American Hardcore」。
タイトルやジャケットからは彼らのコンセプトのひとつである「ワルさ」を感じさせますが如何に。
とりあえず聴きましょー!
トラックリスト
#1 F.N.A.
#2 What I've Become
#3 Unnatural Act
#4 Give
#5 Don't Pray
#6 Pissed
#7 Mine
#8 Kevorkian
#9 Hey World
#10 Next Generation
#11 Hugs And Needles
#12 I Am Alive
#13 Black Sabbath
プレイヤーが壊れたのかと思うような謎のSEを前置きに、低音を強調し歪みも強めのミドルテンポのハードロックナンバーでスタート。
LAメタルといえば、派手な格好や、ある種ポップともいえる明るさが特徴ですが、続く#3、#4もヘヴィさ強めで暗めなナンバーで、当時のグランジ感を意識したのかな?
でもコレはむしろL.A. Gunsの「ワルさ」みたいなものは際立って感じられるし、タイトル通り「American Hardcore」を体現してるのかも。
このアルバムでヴォーカルをとっているのはChris Van Dahl。
Philとは対照的にこぶしの効いた力強いヴォーカルスタイルで、この音楽性にはかなりぴったりというか、むしろ彼に合わせたのでしょう。
でも王道LAメタルを期待してた当時のファンは少し戸惑ったのではなかろうか。
グランジファンがフロントマンを失ったL.A. Gunsを支持したとも思えないし、結構難しい時期だったことが伺えます。
でも結構個人的に好みな音だな~と思う。
#6なんかヘヴィだけどちょいおしゃれなビートで好きだし、他のナンバーでもテンポチェンジなど攻めた展開も多かったり、#9ではヴァイオリンがフィーチャされてたり、シリアスな雰囲気なナンバーが並ぶ中、#10、#11はヘヴィさは強いもののアップテンポで比較的明るめ、と全体的に結構楽しめます。
ボーナストラックの#13ではこのアルバムに最もふさわしいカバー曲、「Black Sabbath」を聴かせてくれ、こんなところでまさかの激アツナンバー。
多分Anthraxがちょうどこの時期新たな音楽性を展開していた頃ですが、私が近年のライヴで観た彼らの音に結構近い。
LOUD PARK 17で来日してましたが、観たかったな。
でもやはり時代の流れやPhilの脱退もあり、当時「L.A. Guns」の作品として評価されるのは少々困難を生じたと思われます。
彼らも結構苦しい中、色々模索もしながらの作品だったのかもしれません。
当時の情勢を思い起こさせるある意味リアルな作品であり、ひとつのHR/HMアルバムとして聴くならば、好みは分かれそうなものの、決して完成度は低くなく、個人的には良作と思いました。
CDレビューを通じて発表当初の時代情勢を知ることができるの、結構楽しいし、勉強になるね。
ただ、ロックでしか歴史を追うことができなくなります。
つまりなんの役にも立ちません。
みなさんも気を付けて。
おわり