Ministry - Dark Side Of The Spoon
こんばんは。
今回は約11か月ぶり3回目の登場、
Ministry
です。
レビューするのは前回レビューした6作目「Filth Pig」に続く7作目「Dark Side Of The Spoon」。タイトルは読んでの通り、Pink Floydの名作のもじりに加え、メンバーが長らく苦しめられたヘロインをスプーンに乗せて炙った時の過熱面を暗喩しているとのこと。また、肥満女性と「I will be god」と不穏なメッセージが書かれた黒板がインパクトの強いジャケットは、Al Jourgensen曰く「ただ言われるがままに行動する愛国心の強いアメリカ人をイメージしている」とのこと。前作はかなり陰鬱な作風でしたが、今作も結構ヘヴィな作品のようです。
では、心していきましょー!
トラックリスト
#1 Supermaniac Soul
#2 Whip And Chain
#3 Bad Blood
#4 Eureka Pile
#5 Step
#6 Nursing Home
#7 Kaif
#8 Vex & Siolence
#9 10/10
#10 Happy Dust
前作のドゥーミーなものを覚悟していましたが、#1はひとまず彼ららしいザラザラしたギターリフと機械的なビートと、少しほっとする感じ。それでも持ち前のダークな印象と不気味ささえ感じるループはそのまま。Alのヴォーカルにはかなり強めにリバーブがかけられ、ギターの歪みの感じに加え前回のスラッジな印象も引き継いでいます。
もちろんPaul Barkerの強く歪んだ、バンドのサウンドを決定的にするこのベースも健在。現在は脱退してしまっているのが非常に残念ですが、逆に今のMinistryの音も気になるところ。
歌詞は作品を通して狂気的。前述のとおりドラッグが作品の基盤になっておりそれを表現していると思われます。#2と#3には当時のAlのガールフレンドであったTycoon、#4ではYvonne Gageという女性をゲストヴォーカルに迎えており、コレも不気味さや狂気の演出に一役買っています。
#5の妙な明るさというか変なテンションが結構印象的で、コレもドラッグでハイになってる状態をイメージしているのでしょう。ハットの陽気な「ツッツパー、ツッツパー」というリズムが逆に不気味です。また、#6ではアルトサックスとバンジョーが使用されており、コレはAlによる演奏とのこと。コレもトリップ中を連想される奇妙な雰囲気を醸し出しています。
オリジナル盤ラストの#9はインダストリアルながらもここまでとは印象の異なるポップなインストナンバー。ここでもサックスを聴くことができますが、コレはCharles Mingusというジャズアーティストの作品から。サンプリング元は前衛的な作品からのようですが、不気味な印象を与えるモノではなく王道なジャジーなもので、コレはドラッグからの脱却をイメージしたものと捉えていいのでしょうかね。
ボーナストラックの#10はシングルカットされた#3収録のナンバー。ダークな印象のインストですが、シンセを複数使用しているエレクトロニックなナンバーで、これまたバンドの違う一面を垣間見られる楽曲となっています。
前作ほど陰鬱ではないものの全体的にゆったりとしており、「Psalm 69」にはなかったアプローチも多く、やはりファンからはあまり評価はよくなかった模様。ただAlとしてはこれまでとは異なった作品を作るという意図はあったよう。5作目では重厚な世界観を、6作目では陰鬱な雰囲気を、今作では狂気的な印象を受けましたが、大衆的ではないものの、少なくともAlとしては狙ったモノになったということでしょう。
前作に引き続きやはり決して万人にオススメできる作品ではなく、少々インパクトとヘヴィさに欠ける部分もありますが、Ministryのいつものサウンドと独特の雰囲気と狂気的な世界観を楽しむことができれば十分に良作と言えると感じました。
しばらくお休みなので最近は思いついたことをやっているんですが、先日「五等分の花嫁」を鑑賞しました。面白かったので早く五姉妹の誰推しなのかという話がしたいです。
おわり